不登校と成績評価
不登校児童生徒の「成績評価」
不登校や引きこもりの子どもたちが、ふたたび自分の力で歩き出すために・・・
私たちは、お父さんお母さんやカウンセラー、教育関係者などが一緒になって、子供たちへの理解を深め、支援の在り方を考え、的確な情報を収集・発信していくために活動しています。
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、不登校の小中学生は過去最多を更新。不登校の理由はさまざまだが、発達障害が背景にあるケースも少なくないといわれる。発達障害の児童生徒の学校生活を難しくしている点はどこにあるのか、学校ではどのような支援が必要なのか。
- 問題解決のために、学校はどうしたらよいでしょうか。
- 学校に来られなくなった場合は、どのような対応が必要でしょうか。
- 現状、学校と医療の連携はどうなっているのでしょうか。
2024 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
(長期欠席のうち小・中学校における不登校)(2025.10.29)
不登校児童生徒数は、小学校137,704人(前年度130,370人)、中学校216,266人(前年度216,112人)、小・中学校全体で353,970人(前年度346,482人)と過去最多となったものの、増加率は、小学校5.6%(前年度24.0%)、中学校0.1%(前年度11.4%)、小・中学校全体で2.2%(前年度15.9%)であり、いずれも前年度と比較して低下し、特に中学校の増加率は小さかった。学年別に見ると、小学校1年生、中学校2年生における不登校児童生徒数は前年度から減少した。
不登校児童生徒のうち、新規不登校児童生徒(前回調査では不登校に計上されていなかった者)数は、小学校70,419人(前年度74,447人)、中学校83,409人(前年度90,853人)であり、小・中学校ともに減少した。また、不登校継続率(前回調査で不登校に計上された者のうち、今回調査でも不登校に計上された者の割合)は、小学校71.7%(前年度5.2%)、中学校が77.1%(前年度80.7%)であり、小・中学校ともに低下した。これらにより、不登校児童生徒数全体の増加率は前年度より低下したものの、不登校児童生徒数が減少する水準には至っていない。
不登校児童生徒数が増加した背景として、児童生徒の休養の必要性を明示した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の趣旨の浸透や、コロナ禍以降の保護者や児童生徒の登校に対する意識の変化、特別な配慮を必要とする児童生徒に対する早期からの適切な指導・必要な支援や、生活リズムの不調等を抱える児童生徒に対する指導・支援に係る課題があったこと等が考えられる。
□不登校児童生徒数の増加率が低下した背景として、チーム学校による丁寧なアセスメントや個々の児童生徒に応じた学習支援の充実、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門的な知見を有する人材の活用、校内外の教育支援センターの設置をはじめとした多様な学びの場や保護者への相談支援や情報提供の充実、一人一台端末を活用した心の健康観察による早期把握等が考えられる。
不登校児童生徒について把握した事実は、小・中学校においては、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった。」(30.1%)が最も多く、続いて「生活リズムの不調に関する相談があった。」(25.0%)、 「不安・抑うつの相談があった。」(24.3%)、 「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた。」(15.6%)の順で多かった。
不登校児童生徒の61.7%(前年度61.2 %)に当たる218,246人(前年度212,114人)の児童生徒が、学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けていた。また、学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けていない児童生徒135,724人(前年度134,368人)のうち、担任等から週1回程度以上の継続的な相談・指導等を受けていた児童生徒数は120,759人(前年度119,699人)であった。このことから、不登校児童生徒のうち、学校内外の機関等や担任等から相談・指導等を受けていた児童生徒数は339,005人(前年度331,813人)であり、その割合は95.8%(前年度95.8%)であった。
学校外の機関等で専門的な相談・指導等を受け、指導要録上出席扱いとした児童生徒数は、42,978人(前年度38,632人)、自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数は13,261人(前年度10,467人)であった。また、令和6年度から新たに、不登校児童生徒が欠席期間中に行った学習の成果に係る成績評価の状況について調査したところ、自宅や学校外の機関等での学習の成果を指導要録に反映した児童生徒数は81,467人であった。
学校と積極的に連携
文部科学省は2024年8月29日、不登校児童生徒の欠席中の学習成果が適切に評価されるよう、学校教育法施行規則の一部を改正した。今後の教育現場は、成績評価への積極的な対応が求められる。
現在、不登校児童生徒のいない学校はありません。別室登校で自主学習する子供たちが多い学校は、空き時間の先生を見守りとして充てるのが精いっぱいで、学年も心の状態も異なる生徒たち一人ひとりに勉強を教えるのは困難です。オンラインで教室の授業を中継して別室で学ぶ子供たちもいますが、授業を受ける側にも教員がいないと授業を受けたことになりません。生徒一人ひとりに教員を付けることは余裕はありませんから、出席にはなっても欠課扱いのなってしまう状況です。欠課が多いと、定期テストを受けても「評価材料が少ない」見なされ成績が付かない。すると、「中学校なら『評定不能』や『斜線』となる。」この現実が生徒の進路に大きな影響を与えます。
2016年に教育機会確保法が成立し、不登校児童生徒に対し学校以外に学習の機会を確保して、出席扱いになりことが認められました。さらに、2019年の文科省通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」において支援の強化が求められるようになりました。
2019年の通知には、児童生徒が自校以外のフリースクールなどの施設に通っている場合、学校主体になって積極的に連携して学びを評価することの意義が通知されましたが、学校現場では通常業務で手いっぱいです。大規模校では不登校児童生徒が1クラス分くらいいるわけで複数の学校外施設と連携することは難しいです。別教室の生徒たちも十分に支援できていないのに外部施設との連携は無理で、実際、学校と連携して評価まで踏み込んでいる学校外施設は見当たりません。
法令改正により「学校外施設との連絡」が重要になりました。
文科省は、2023年に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」において、学校外施設や自宅などでの学習が成績に反映されるようにすることを明記しました。しかしながら、「多様な学びの場は確保できたが、学びの確保ができていないのが現状」です。これは、学校の先生方に文科省の通知が十分周知されていないことが課題です、
このような状態の中、2024年8月29日に不登校児童生徒の欠席中の学習成果を成績に反映できることを法令上明確化するために学校教育法施行規則の一部を改正しました。評価の要点として学習の計画・内容が教育課程に照らして季節であることや教育支援センター・民間団体との連携、不登校児童生徒との学校のかかわりの維持などをあげています。そのために今後は、学校側は成績評価に関して積極的な姿勢が求められ学校外施設との連携もさらに重要になるでしょう。
しかし、教職員はすでに両手いっぱいに荷物を持って走り続けている状態です。児童生徒の学びを確保して選択肢を広げるためには、教員や学校の視点に立った連携についてさらに議論や検討をする必要があります。
不登校生徒の中学校卒業後の進路進学情報
| 主として出席が前提となっている学校等 | 主として出席が前提としていない学校等 | ||
| 高等学校 | ①全日制普通高校 ・公立高校 (国立、工専を含む) ・私立高校 ・全寮制高校 ②定時制高校 ・公立高校 (昼間通学・夜間通学) ・私立高校 (昼間通学・夜間通学) ・チャレンジスクール (都立高校) ③単位制高校 ・公立高校 ・私立高校 ④インターナショナルスクール (日本にある海外の学校) | 高等学校 | ①通信制高校 (広域校・狭域校、学年制・単位制) ・公立高校 ・私立高校 (関東圏外からの進出が目立つ) |
| 専修学校 各種学校他 | ⑤高等専修学校 ・大学入学資格付与指定校 ・技能連携校 ・企業内学校 ⑥各種学校 ・無認可校 英会話学校・ペットスクール等 ⑦職業訓練校 ⑧技能を磨く 伝統的工芸職人などをめざす ⑨夜間中学校(学び直し) | 専修学校 各種学校他 海外留学 | ②技能連携校 ③サポート校 ④高卒程度認定試験予備校 (旧大検予備校) ⑤フリースクール ⑥日本の学校が海外設置する日本校 ⑦現地の高校 ⑧語学研修 |
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